薬物療法について

心不全治療薬の目的と種類

  1. 予後の改善→ACE阻害薬、ARB、MRA、β遮断薬
  2. 症状、生活の質(QOL)の改善→利尿薬、強心薬

代表的な薬剤

 

アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)

心不全、心筋梗塞後の心筋リモデリング防止等を目的として使用します。血管の収縮、血圧の上昇、心肥大の促進、心筋の線維化等を引き起こす体内のホルモン、アンジオテンシンUの生成を阻害します。同時にブラジキニンの分解を抑制し血管内皮機能を改善する作用もあります。心不全の症状を軽減し運動能力を向上させ、心不全の進行を防ぎ生命予後を延長させます。

アンジオテンシンU受容体拮抗薬(ARB)

アンジオテンシンUの作用を受容体レベルで阻害します。ACE阻害薬と同等の慢性心不全の予後改善効果を発揮します。

抗アルドステロン薬

左室収縮機能不全による重症心不全(NYHAV以上)に対して、スピルノラクトンやエプレレノンの併用が死亡率などを低下させることが大規模臨床試験で明らかになりました。スピロノラクトンは,抗アンドロゲン作用をもつため,女性では生理不順,男性では女性化乳房や乳頭部の痛みなどの副作用があります。
*選択的アルドステロン拮抗薬(MRA)であるエプレレノンはその欠点を改善され開発された抗アルドステロン薬ですが本邦では心不全の適応がまだ認められていません。

β遮断薬

自律神経の興奮伝達物質アドレナリンの受容体のうち、ベータ受容体を遮断することで、心筋の興奮を抑制し、心臓への負荷を軽減します。左室収縮機能の低下に基づく心不全患者において突然死を含む予後を大幅に改善します。少量から継続して投与し、目標投与量まで増加することが推奨されています。

利尿薬

心不全患者において労作時呼吸困難、浮腫などのうっ血に基づく症状を軽減します。腎臓におけるナトリウムの再吸収を抑制し、水分・ナトリウムを尿中に排泄させる作用のあるループ利尿薬、とくにフロセミドが最もよく用いられますが、サイアザイド系利尿薬や電解質異常やRAA系の賦活化をきたしにくいバゾプレッシン拮抗薬も併用されます。

経口強心薬

心筋の収縮力を高め心ポンプ機能を改善する薬剤で主に急性期に静脈内投与が行われます。一方、経口強心薬の長期投与はむしろ予後を悪化させるとの報告があり、欧米のガイドラインでは収縮機能の低下に基づく慢性心不全には禁忌とされていますが、本邦では静注強心薬からの離脱やQOLの改善を目的とした投与は認められています。またジゴキシンも強心薬に分類されますがその強心作用は弱く、主に心房細動の心拍数コントロールに用いられます。

抗不整脈薬

アミオダロン以外の抗不整脈薬は心機能抑制作用や催不整脈作用のため左室収縮機能の低下した心不全には禁忌となっています。唯一アミオダロンは重症心室性不整脈とそれに基づく心停止の既往のある場合に、不整脈の発生を抑制する目的で使用することができます。

図4心不全の重症度から見た薬物治療指針

[ 出典 ] 循環器病の診断と治療に関するガイドライン.慢性心不全治療ガイドライン(2010年改訂版)

http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010_matsuzaki_h.pdf(2015年4月閲覧)

 

心不全治療薬の目的と種類

  1. 予後の改善→ACE阻害薬、ARB、MRA、β遮断薬
  2. 症状、生活の質(QOL)の改善→利尿薬、強心薬

代表的な薬剤

 

アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)

心不全、心筋梗塞後の心筋リモデリング防止等を目的として使用します。血管の収縮、血圧の上昇、心肥大の促進、心筋の線維化等を引き起こす体内のホルモン、アンジオテンシンUの生成を阻害します。同時にブラジキニンの分解を抑制し血管内皮機能を改善する作用もあります。心不全の症状を軽減し運動能力を向上させ、心不全の進行を防ぎ生命予後を延長させます。

アンジオテンシンU受容体拮抗薬(ARB)

アンジオテンシンUの作用を受容体レベルで阻害します。ACE阻害薬と同等の慢性心不全の予後改善効果を発揮します。

抗アルドステロン薬

左室収縮機能不全による重症心不全(NYHAV以上)に対して、スピルノラクトンやエプレレノンの併用が死亡率などを低下させることが大規模臨床試験で明らかになりました。スピロノラクトンは,抗アンドロゲン作用をもつため,女性では生理不順,男性では女性化乳房や乳頭部の痛みなどの副作用があります。
*選択的アルドステロン拮抗薬(MRA)であるエプレレノンはその欠点を改善され開発された抗アルドステロン薬ですが本邦では心不全の適応がまだ認められていません。

β遮断薬

自律神経の興奮伝達物質アドレナリンの受容体のうち、ベータ受容体を遮断することで、心筋の興奮を抑制し、心臓への負荷を軽減します。左室収縮機能の低下に基づく心不全患者において突然死を含む予後を大幅に改善します。少量から継続して投与し、目標投与量まで増加することが推奨されています。

利尿薬

心不全患者において労作時呼吸困難、浮腫などのうっ血に基づく症状を軽減します。腎臓におけるナトリウムの再吸収を抑制し、水分・ナトリウムを尿中に排泄させる作用のあるループ利尿薬、とくにフロセミドが最もよく用いられますが、サイアザイド系利尿薬や電解質異常やRAA系の賦活化をきたしにくいバゾプレッシン拮抗薬も併用されます。

経口強心薬

心筋の収縮力を高め心ポンプ機能を改善する薬剤で主に急性期に静脈内投与が行われます。一方、経口強心薬の長期投与はむしろ予後を悪化させるとの報告があり、欧米のガイドラインでは収縮機能の低下に基づく慢性心不全には禁忌とされていますが、本邦では静注強心薬からの離脱やQOLの改善を目的とした投与は認められています。またジゴキシンも強心薬に分類されますがその強心作用は弱く、主に心房細動の心拍数コントロールに用いられます。

抗不整脈薬

アミオダロン以外の抗不整脈薬は心機能抑制作用や催不整脈作用のため左室収縮機能の低下した心不全には禁忌となっています。唯一アミオダロンは重症心室性不整脈とそれに基づく心停止の既往のある場合に、不整脈の発生を抑制する目的で使用することができます。

図4心不全の重症度から見た薬物治療指針

[ 出典 ] 循環器病の診断と治療に関するガイドライン.慢性心不全治療ガイドライン(2010年改訂版)

http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010_matsuzaki_h.pdf(2015年4月閲覧)

 
 
  • 非薬物療法について
  • 薬物療法と非薬物療法の重要性について

 

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