心筋症とは
心臓の機能障害と共に起こる心筋の病気を「心筋症」、特定の心臓病や全身の病気に続いて起こる心筋の病気を「特定心筋症」と呼びます。
心筋症は、拡張型心筋症(DCM)、肥大型心筋症(HCM)、拘束型心筋症(RCM)に分類されています。
各心筋症の特徴
- 拡張型心筋症(DCM)
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原因不明の心筋の病気で、心筋の収縮力が落ち、左室の壁が薄くなり中の容積が大きくなって、心臓のポンプ機能が低下します。うっ血性心不全や不整脈、血栓塞栓症といった病気を起こしやすくなっています。通常、左右の心房心室が4つとも拡大しますが、中でも左室の拡大が顕著にみとめられます。
症状
ポンプ機能の低下の影響で動悸、息切れ、むくみ、疲れやすい等の症状が出てきます。更に重い不整脈が出てくることもあり、難病に指定されています。病状はゆっくり進行し、予後はよくありません。日本における心臓移植適応例の8割以上を占めています。
以前は5年生存率が5割程度でしたが、最近では治療の進歩により7〜8割に向上しています。死因の多くは心不全または不整脈とされています。治療
原因不明のため、根本的な治療については心臓移植のみとなります。
その他の治療法として、薬物療法やICD、両室ペースメーカを使うこともあります。
- 肥大型心筋症(HCM)
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心筋が変性する病気で、左室が分厚くなります(肥大)。心室が十分に拡張できない状態を伴います。左室・右室の間の壁(心室中隔)が分厚くなります。左室から血液が流れる経路(左室流出路)が狭くなる場合、狭くならない場合によって、閉塞性肥大型心筋症と、非閉塞性肥大型心筋症に分かれます。また肥大する部位が心臓の尖った部分(心尖部)の範囲に限ってみられるものは心尖部肥大型心筋症と呼ばれます。
症状
胸の痛み、動悸、息切れ、めまい、失神等が挙げられます。心不全や重症の不整脈を起こすこともあります。拡張型心筋症へと変化することがあるので、注意が必要です。
治療
最大の問題である突然死の予防が重要です。
日常生活では過激な運動を避ける必要があります。内科的な治療としての薬物療法、また心室中隔切除術等の外科的手術が適応となる場合もあります。
- 拘束型心筋症(RCM)
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日本ではまれな疾患であり、アフリカ、インド、中南米、そして一部のアジアの国々で患者さんが多く存在します。心室の病態としては、線維化(内臓等の組織を構成している結合組織と呼ばれる部分が異常増殖する)あるいは浸潤(炎症等の発育の場が隣接する組織中に侵入する)した心筋をみとめ、心室が十分に拡張できない状態になります。心拡大、心肥大は伴いません。
症状
動悸、息切れ、むくみがみられますが、胸痛と失神はあまりみられません。不整脈を伴うことが多く、また、7割の患者さんが症状の出現から5年以内に死亡するといったことから予後はよくありません。
治療
診断はしばしば晩期に確定するため予後はよくなく、ほとんどの患者さんには有効な治療が存在しません。対症的な支持療法(薬物療法)が行われます。